監禁事件?

ジュネーヴ高等音楽院は歴史ある学校で、校舎(本館)はオペラと同じ広場に面したところにある、なかなか年月を感じさせる建築物です。以前かよっていたパリ音楽院の方は20年ほど前に移転したばかりの非常にモダンな建物だったので、初めてジュネーヴに来た時は『これぞヨーロッパの音楽院!』なんて思わず目を輝かせたものです。

…とまぁ、前フリはこのくらいにして。3年目となると目を輝かせることもなく、少々きしんだ音のする木造部分ややけにゴージャスな大理石にも慣れてきます。でもこれと言って不自由も感じずつつがなく過ごしていたわけですが、件のこの日は作曲科助手の個人レッスンで、アシスタントのVクトールと本館の一室にいました。
レッスン開始から15分くらい経ったとき、ドアをノックする音に振り返ると、副学長が顔を見せ『レッスン中に申し訳ないね。これ取りに来ただけだから』と教室の一角に置いてあったチェロを指差しました。
書類などいろいろ置いてある部屋で、途中で誰か入ってくることは別にめずらしくもないので、その後も何事もなかったかのようにレッスンは続き、約1時間後に終了。お礼を言って教室を出ようとすると、
あれ…ドアが開かない?
なかなか出て行かない私(正確には「出て行けない」)に気づいたVクトールがドアまでやって来て、押してみて、引いてみて…『えっ、なんで鍵かかってるんだ!?』
考えられる可能性としては『副学長がチェロ取りに来て出て行ったとき無意識に鍵をかけた』が最有力候補だよね、と間もなく我々の意見は一致。そして困ったことにこのドア、内側からも鍵無しでは開けられない(外側も内側も同じ鍵穴があるだけ)タイプのもので、Vクトールは『どうしよう、僕ここの鍵持ってないよ。さっき受付の管理人に開けてもらって入ったから』ということで、つまり、ええと、、、出られないってこと?

幸運にもVクトールが携帯に登録していた音楽院事務室(本館とは別の建物)の番号に電話をかけ→本館の管理人電話番号を聞き→そこに電話をかけ、事情を話し→管理人が爆笑しながら我々の教室に鍵を開けに来てくれて、一件落着。

オートロックの自宅アパートの鍵を持たずに外出しそうになってヒヤっとすることは多々ありますが、まさか外から閉められちゃうとは。。初めて経験しました、こんなこと。あー、びっくり。

Comments