最近の読書記録 - 2011年7〜8月

--- Sorry, today only in Japanese / Désolée, seulement en japonais aujourd'hui---


一時帰国中は、少しでもまとまった時間が取れると必ず図書館に行きます。本屋より先に図書館。ハードカバーのものから優先的に読めるだけ読んで、時間切れになったら本屋及び古本屋をまわり、文庫を買ってスーツケースに放り込む。
留学を始めた8年前なんかに比べると、ネットから得られる読み物がずいぶん増えたし、パリにはブックオフができたし、フランス語の本もそこそこ読めるようになったので環境は格段に良くなってるんですが、やっぱり図書館で日本語の本がずらーっと並んでいるのを見るとウキウキします(笑)


平野啓一郎:一月物語(新潮社 1999/04)
 行きつ戻りつ、漢和辞典を片手に漸く読破した『日蝕』に負けない骨太さ。中盤から読者が気づかない程度に徐々にテンポを上げて、辿り着いたクライマックスでのスピード感、そして訪れる残響みたいな読後感がまるで音楽のよう(だと勝手に思いました)。
さらさらとは読めない。難しい。でもこの著者の、無駄なく美しい、品のある文章は病み付きになります。

平野啓一郎:小説の読み方 〜感想が語れる着眼点(PHP研究所 2009/3/14)
 公式ブログの雰囲気で綴られたエッセイ。ケータイ小説『恋空』もこの人の手にかかるとこうなるのかー。伊坂孝太郎氏の『ゴールデンスランバー』、ちょうど空港に向かう電車の中で向かいに座ってた人が読んでました。『重力ピエロ』は小説も映画もおもしろかったし、次読んでみたいな。

平野啓一郎:かたちだけの愛(中央公論新社 2010/12/10)
 この本については機会があればしっかり感想を書きたいので、とりあえずここでは簡単に。
あまりよい評判を聞かず、たしかに作者本人の分類による第一期の作品とはかけ離れている、けど、私は好き。少なくとも“読み応えがない”というのとは違うと思う。
読後しばらく、ラヴェルのピアノ協奏曲第二楽章が静かに鳴ってました。

有川浩:Story Seller(新潮社 2010/8/20)
 一文ごとに立ち止まって咀嚼が必要な本が続くとそれはそれで疲れてくるので、その合間に読める本、ということで。(昨秋の日本滞在中に同著者原作のドラマ『フリーター、家を買う。』観てました。)
ページはどんどん進むんだけど、感情があっちこっちに振られてもう大変。作家業と作曲家業って似てるところもあるので、やけにリアルに感じしまい、また大変。泣いてる場合じゃないわ、作曲しようよ、自分。

金原ひとみ:蛇にピアス(集英社 2004/1/5)
 平野作品を一気読みした後、当時話題になってたけど手に取らなかった芥川受賞作を思い出す。綿谷りさは『インストール』『蹴りたい背中』既読、じゃあ…
会話だけ追うと軽い、というか、小難しいセリフはなく、登場人物がそもそも「だって、そんな難しいこと考えられない」と放棄しているような感じなんだけれど、“考えられない"と“何も感じない”は全然違う。読んでるこっちも、勝手に普段自分がやっている方法で論理立てて考えて結論を出すわけにいかず、一緒にになってこの“よくわからない”状態に放り込まれる。で、よくわからないのに四方から迫り来る焦燥感の描写にこちらもハラハラする。
ただ、個人的には…趣味じゃないです。就寝前に読んだら、なにやら悪夢にうなされ大量に汗をかいて目が覚めました。

平野啓一郎:ドーン(講談社 2009/7/10)
 この本も、後日改めて。

有川浩:キケン(新潮社 2010/1/21)
 『機械制御研究部』の略称で『キケン』。前述『かたちだけ〜』と同様、ネットではネガティブな書評が目立ち、自分は文系女子でしたのでこんなのありえないとか言われてしまうと反論のしようがないのですが(でも身近な元理系男子からそういうコメントはなかった。年齢にもよるのかな?)私は楽しんで読みました。文化祭のくだりではお腹抱えて笑ったし。最後の黒板も含め、これを小説雑誌で掲載したっていうのがすごい。

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